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カメレオンのための音楽

今年はなんとなく個人的に、中沢新一を読む年ということに決めて少しずつ読んでいるのだが、出てくる言葉が難解なものが多く、そういうのに出くわすたびにネットで検索し、調べているうちにどんどん違う道に迷い込んで、もともと読んでいたところから遠く離れたところに出てきてしまい、ふと我に返ると読み始めてから1時間たっているのに2行ほどしかすすんでいない、という事態が起こる。

とにかく読むのにすごく集中力が必要で、消耗するので、気分転換に違う本を読んだりするのだが、それが案外おもしろかったりして、今度はそっちが読書の中心になり、中沢新一先生はしばらく放置、みたいになってしまう。

 

そんな流れで手に取った「カメレオンのための音楽」はだいぶ昔に買った本。

買ったときは読みかけてなぜか途中でやめてしまったので、読んでないところを読もうと思って手に取った。といいつつ、結局最初からまた読み直しているが。一つ目の表題の短編、カメレオンのための音楽がよかった印象があったから。再読したらやっぱりいい短編だった。今のところどれもよかったが、いま読み終えた「くらくらして」は特によかったなあ。これはカポーティのかなり後期の作品だが、初期の夜の樹などに見られたあのナイーヴな感性はここでも健在。滑稽さと切なさの同居、あるいは滑稽であるがゆえに切ない、、もしくはその逆、、。

その次が「手彫りの柩」これはちょっと有名なのかな、、この本の中ではまあまあ長そう。呼吸を整えてなるべく一気に読みたい。

 

野坂昭如の翻訳というのが面白い。話にもよるが、なんというかちょっとすっとぼけた感じの語り口調が意外と悪くない。こういうの講談調っていうのかな、ちょっとユーモラスな体言止めの多用。

あとまあ、蛇足だけど、早川のepi文庫のサイズ感、普通の文庫よりちょっとだけでかいのがなんかずるいなー。なにがずるいのかよくわかんないけど、まあとにかく、なんかずるいのだ。

 

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