ジャズピアニスト平川勝朗のページ

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ライルメイズのこと

昨日ネットで、ライルメイズが亡くなったことを知った。

まだ66歳だったそう。重い病気を患っていたらしい。

 

最初に彼のことを知ったのはいつだったか、

正直なところあまり覚えていない。

PMGを好きになってよく聴いていたころは、

メセニーの相棒のピアニスト、という知識があったくらいで、

実際、どんな人なのか、はっきりわかっていなかったと思う。

彼のピアノの魅力を知ったきっかけはおそらく「Fictionary」。

僕が知る限り、おそらく彼が唯一残したピアノトリオアルバムだ。

もし「他にもあるよ」という方がいらっしゃったら

ぜひ教えてほしい。買えるものなら、速攻で買いたいので。

で、Fictionaryの話。

 

1曲めのロマンティックなバラード(タイトルがなんとBill Evans)から

一気に引き込まれた。

なんというか、ちょっと偉そうだけど、

「あ、僕が求めていた音楽だ」

という感じがした。

ちょっと粘っこいフレイズが、絶妙な揺らぎ

(そう、このタイムの揺らぎがなんともいえない魅力!)

を持って綴られる。

キースに通じるものをすごく感じるが、

もう少しさわやかな感じ。

 

そう、ライルはキースジャレットのことが本当に好きだったらしく、

いろんなインタビューで彼のことを語っているようだ。

印象的だったのが、

具体的な言葉は覚えていないけれど、

「キースが仮にすべての人気投票で1位を獲得したとしても、

それでも彼はまだ過小評価である」

みたいなことを言ってたこと。

なんとなく「彼の魅力をほんとにわかってるのは俺だけだ」

みたいなニュアンスも受け取れるような気がしてほほえましいが。

 

このアルバムのすべてについて語りたいが、

おそらく膨大な文章量になってしまいそうで、、

とにかく、入ってる曲すべて、本当にすばらしい。

そして、何度聴いても、そのたびに新しい発見がある。

ハーモニーは、意外とベタな使い方もしたりするが、

それがなんというか、ほんとにきれいに新鮮に響く。

それはおそらく彼のタッチによるもの。

和音の響きのよさって、音選びよりもタッチに左右される割合が高いのかな、

と思わされる。

あと、彼のフレイズもすごく好き。

なんだか謎の中東っぽいスケールを、すごく効果的に使う。

このフレイズを聴いたとき、自分もそれを使いたくて、

すごくコピーした記憶がある。

自分のプレイの中に、今だにその名残はある。

僕のかつての師匠のギタリストもライルメイズが大好きで、

よくいろんな話をした。

「彼は短三度を増二度として使うよねえ」

師匠がそんなこといってたのを今でもよく覚えている。

うーん、こうやって書き始めてみると、

書きたいことはいくらでも出てくる。

ちょっと次の予定があるので、

また改めて続きを書こうと思う。

一旦これで。

 

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